そういうことだった

親父に「今日は何の日か知ってるか?」と尋ねられ、考えても家族の誕生日にも記念日にも当て嵌まらないので堪らず聞いたら「猫の日だ」と。言われてそういう日があったなぁと、記憶は一片から徐々に大きく露呈してきましたよ。2/22で、にゃんにゃんにゃん。故に猫の日
そういえば昼前に家の犬が吠えていて、犬の鼻先が示す方向を目で追うと一匹の猫がいました。毛並みは白と黒で体躯は一般的な大きさ。鼻が毛の黒に埋もれて無愛想に見えるけど、毅然としていて可愛らしい猫でした。
車庫の横には柿木が伸び、その木から奥は段差がついて、寒さに負けずに草が生えています。そこに猫はいました。
草の隙間に顔を埋め、目ぼしい物を物色している最中でしたね。動物が持つ臨界距離よりも気持ちだけ距離をとり、そんな猫の様子を観察していたのです。犬が吠えっぱなしだったせいか、猫はこちらを見ませんでしたよ。
短い時間だったけど、オレの目には、猫はとても気ままに映りました。その動作をしているときの猫は時の流れから脱却して現実を見ていなかった。そしてオレはいつも猫を見ると感じるように、羨ましい、と感じたのです。
そんな嫉妬からじゃないですけど、あまりにも犬が騒ぐので猫を払うために手を叩きました。すると猫は手を叩いた音に敏感に反応し、逃げる体勢を構えてこちらを見据えるのです。更にオレは手を叩きます。猫はそれを合図に林へ駆け出していきました。それを見届けて、オレは犬の頭を撫でてから思い出したように作業へ戻りました。
草の中で物色していたときの猫が現実を見ていない、というのはオレの勘違いです。そのときはそう思ってしまったけど、いつだって猫は耳を立てて周囲に気配がないか注意を配らせています。たまたま犬の吠える声でオレの存在を感知できなかったのでしょう。
犬だってそう。猫にばかり気をとられていたから、飲み水の皿を鎖に引っかけてひっくり返しちゃったんだ。
見落としちゃ駄目な事って自分の近くにありますね。
猫の日だからって喜んだり騒いでいるのは人間の一部です。猫や関係ない犬、猫の日の存在を知らない人は何のことやら、といった模様。
猫ぉ〜、これからも気ままに生きて、犬と仲良くしてくださいよ〜。犬も猫と仲良くね〜。オレは頑張るよ〜。